根管治療(歯の神経、歯の根っこ、歯の内部の治療)に関して
- 2023年11月4日
- 歯科診療に関して
こんにちは!山本です。
根管治療という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、歯の内部にある歯髄(神経や血管)が通っている管から、感染を起こす可能性のある物質を除去する治療です。
すなわち、歯の中にある神経および血管を取り除く治療です。もちろん細菌も除去します。
本日はこの根管治療について触れていきたいと思います。
根管治療といってもいくつか種類があり、条件によって治療の回数や成功率が異なります。
①抜髄
歯の神経は生きているが虫歯が大きく(あるいは高度の知覚過敏や歯周病により)、神経を取らざるを得ない状況です。
神経の中に細菌は入り込んでいないため治療回数は1~3回程度です。
②感染根管治療
歯の神経は、部分的あるいは全部的に壊死していることが多く、根っこの先に細菌の塊と膿が溜まっています。
既に根っこの先で感染が成立しており、汚染物質が溜まっているため治療回数が多くなります。
膿の量や感染の状況次第ですが、早い方は1か月程度ですが困難な方は治るまでに半年以上かかることが稀にあります。
③再根管治療
以前に神経の治療をしたことがある歯に、再度感染がおこっている状態です。
治療の成功率は70%前後まで落ち込みます。
はじめての根管治療よりもさらに丁寧に汚染物質を取り除くことが必要で、難易度が高いです。
そのため、症状や状態によっては、相談の上で治療をせず経過をみることも選択肢に上がります。
根管治療は、歯医者の治療の中でも特に繊細な治療
軸径が0.06mm~0.35mmの器具を使い、歯の中の汚染物質を除去していきます。
人によってはもっと軸径の大きいものを使いますが、日常生活で0.06mmの物って、なかなか目にしないので想像しづらいですよね。。
なんとなくですが、針に糸を通すような感じの治療をお口の中でやっているイメージですかね?
適当に器具を入れたり不用意な力を加えるとすぐに器具が破折するため、非常に集中力が必要です。
根管治療は、治療回数が多くなるため、そのことが気になる方も多いのではないかと思います。
しかし、レントゲン写真を見たことがあるなら納得していただけると思うのですが、こういう状況では、骨が溶けていることが多いです。
歯の根っこの先(つまり骨の中)や歯の中に細菌が繁殖していて、その働きにより体の免疫反応も含めて骨が溶けているのです。
骨が溶けていて、まさにそこに感染が生じているのです。一回の治療ではまず治りませんよね。
感染で熱があがっても治癒期間はかかりますし、骨折で骨が傷ついてもギプスをつけたり病院に通ったりして治療期間は長引くのは周知の事実です。
歯医者での治療はそれらが複合したようなものでさらに条件が悪いため、治療期間が長引きやすいんです。
また、治療期間が長引きやすい要因として細菌によるバイオフィルムの形成があげられますが、これは根管治療中に唾液が歯の中に入ることによっても生じます。
そのため、当院では唾液が入りにくいようにラバーダムという装置を可及的に使用したり、隠れている根管(歯髄の通る管)や亀裂を見つけれるように手術用顕微鏡やCTを用いて、保険の範囲内であっても最大限効率的に治療を行っております。
また、1回の治療時間が短くなるようにNi-Tiファイルと呼ばれる器具も使用して、極力患者様の負担を軽減することに注力しております。
根管治療の成功率は、歯の状態やこれまでの経過、患者様自身の生活スタイル、そしてなにより術者の知識と技術および道具や診断に大きく左右されます。
今現在症状がなくて落ち着いていても、数日後に急に悪化して大きく腫れたり痛みが出たりすることもあります。
噛むと浮いたような感じがする、違和感がある、歯茎が腫れたり膿が出ている、夜寝れないぐらい痛むことがある、、、
これらの症状は歯の根っこの先に膿が溜まっていることがあり、根管治療が必要なことがあります。
心当たりのある方、悩んでいる方はぜひご相談ください。皆様の力になれるよう、スタッフ一同全力を尽くさせていただきます!