感染症と歯科の関連
- 2023年10月30日
- 歯科診療に関して
こんにちは。山本です。
最近インフルエンザがすごく流行っているそうですね。
また新型コロナのみならず、アデノウイルスによる感染症も流行っているようで、学級閉鎖になるクラスもあると聞きました。
お子様が感染してしまったらその看病も大変だと思います。お仕事も休まざるをえない場面もあるかもしれません。
またお子様同士での感染はもちろんですが、子から親だったり親から子への感染も気を付けなければならないですよね。
どうかお体を大事に、気を付けてください。
ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが
インフルエンザは口腔ケアによって予防できます
歯医者というと虫歯や歯周病といったイメージを持つと思いますが、歯科治療は全身の病気と関連しています。
①口腔内細菌数を減らすことでインフルエンザウイルスの増殖を予防できる
インフルエンザウイルスは粘膜に付着し、細胞に入り込みます。
口腔内細菌は細胞の膜を破壊することによってインフルエンザウイルスが増殖するのを手助けします。
そのため、口腔内細菌を減らすことでインフルエンザの予防がしやすくなると考えられています。
②口腔内細菌の数を減らすことで免疫力によるウイルス排除機構を手助けできる
口腔内を適切に清掃することによって菌の数が減少するため、自身の免疫力(IgA)がウイルスを適切に排除しやすくなります。
ウイルスや菌の数が多すぎると免疫が追い付かないためです。また舌には細菌が多量に潜んでいるため、舌の掃除も大事になってきます。
③唾液の量を増やすことで感染しにくくなる
口腔内の唾液の質と量が大事で、唾液には免疫機能をもつ抗体IgAや、微生物の粘膜への付着を妨げるたんぱく質が含まれ、また唾液自体には粘膜に付着していない細菌やウイルスを洗い流す作用もあります。そのため、唾液が少ないとそれらの防御機構の作用が低下し、感染症にかかりやすくなります。
これは口呼吸をすることも関係しており、口呼吸をすると粘膜が乾燥し感染しやすくなります。口呼吸は極力避けるように気をつけてください。
上記によって100%完全に防げるわけではありませんが、感染する確率を下げることができます。
そのほか、糖尿病を持っている方はインフルエンザにかかると重症化しやすいことが分かっています。
そして糖尿病は歯周病とも関連があり、歯周病の治療をすることで糖尿病が改善することも既知の事実です。
そのためこういった意味でも、歯周病治療は間接的にもインフルエンザから体を守ることに役立っている可能性があります。
インフルエンザとはまた話が違いますが、誤嚥性肺炎と歯周病治療も大きく関係していますね。
歯周病治療で口腔内細菌を減らすことで誤嚥性肺炎の発症リスクを下げることができます。
ちなみに、歯医者では口を開いたり治療時にエアロゾルが出るため感染が広がりやすいと考える方もいらっしゃるかと思います。
しかし、歯科医院って実は感染が広がりにくい環境なんです。
換気のみならず口腔外バキュームといった専用の大きな装置を使用したり器具の滅菌を行い、1回の治療が終わるたびに椅子も周辺装置もすべて消毒しています。
術者もゴーグルとマスクを使用し手袋ももちろん1回1回使い捨てているので、安心して治療を受けていただけます。
お口を健康にして、全身の健康を守りましょう!
実際に、口腔ケアを導入することによってインフルエンザ感染が減ったという報告もあります。
口腔ケアの基本はご自宅での歯磨きです。歯磨きというと簡単に聞こえるかもしれませんが、意外と難しいんです!
汚れを染め出して鏡で見たことがある方はわかるかもしれませんが、歯と歯の間や歯と歯茎の境目に残りやすく、工夫しないとなかなか汚れが取りにくいです。
また、唾液の量は加齢により減少することがわかっています。しかし、唾液腺マッサージにより分泌を促すことができ、ある程度改善することも分かっています。
もしよろしければ磨き残しや歯磨きの仕方を確認してみませんか?
唾液が出にくい、口が乾燥するといった悩みをお持ちの方もぜひ御相談ください。
インフルエンザになると苦しいですよね。咳も止まらず、高熱も出て、関節も痛い・・・。
口腔ケアをすることで一緒に感染症を予防していきましょう!