歯周病に関して~成り立ちと症状~|稲城にじいろ歯科・矯正歯科|稲城市・稲城長沼駅の歯医者

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歯周病に関して~成り立ちと症状~|稲城にじいろ歯科・矯正歯科|稲城市・稲城長沼駅の歯医者

歯周病に関して~成り立ちと症状~

こんにちは!

稲城市、大丸地区、JR南武線稲城長沼駅より徒歩5分、京王線稲城駅より徒歩13分

稲城にじいろ歯科・矯正歯科です。

 

久しぶりのブログ更新です。

最近コロナや百日咳が流行っており、また治った後も後遺症で咳が止まらなく、咳喘息となってしまう方が多いようですね。

私自身も喘息発作でせき込むことが多く、またアレルギーで咳が出たりもします。つらいですね。

 

今回は、中年以降の約7割が罹患しているといわれる歯周病についての内容です。

歯周病の勉強を続けているうちに、歯周病が矯正やインプラントや根管治療や補綴物等の他の科の領域と関わることが多いことを知り、最近はそちらの勉強ばかり行っていました。

ここでいったん原点に立ち返り、もともと歯周病科出身なので、歯周病についてまとめる必要があると思いましたので、この場を利用します。

文字数がかなり多くなってしまうため、歯周病の成り立ちや症状、全身との関連、治療法、予防法等を3回ぐらいに分けていきます。

 

初回は歯周病の成り立ちと症状について書きます。

ここでは、そもそも歯周病ってどういう病気なのかを知ってもらいたいと思います。

 

歯周病とは

歯周病という言葉は聞いたことがあるかと思います。

しかし、どのような症状や経過を辿り、最終的にどうなるのか、またお口だけでなく全身との関連についても聞いたことがあるでしょうか?

歯周病は生活習慣病であり、知らず知らずのうちに進行して、症状が出るころには既に手遅れになっていることもたまにあります。

意外と関わりがなさそうな全身の疾患についても実は関連が疑われており、要介護となる疾患の半数以上に歯周病は関わっています。全身疾患との関連については後述します。

 

まずは歯周病がどのようにして発症するのか知っていただきたいと思います。

 

 

歯周病ってどんな病気?

 

歯を支える組織(骨や歯肉や靭帯など)が失われていく病気です。

日本人が歯を失う原因の第一位で、実は虫歯よりも歯を失くす原因となっています。

 

虫歯は痛みが出やすく、また鏡でも発見しやすいため虫歯の治療をするために歯医者に行くことは多いと思います。

実際、当院においてもやはり痛いから虫歯の治療をしたいという方が多く、第一目的として歯周病の治療を希望される方は全体の割合としてはかなり少なく感じます。

 

しかし、お口の中を拝見すると症状こそないものの、状態としては進行している歯周病を認めることがしばしばあります。

それは、歯周病は相当進行するまでは痛みなどの不快な症状が出にくいからです。

ある程度進行してから歯が揺れたり、噛むと痛いといった症状が出ることが多いです。

また口臭の原因にもなり、歯が動いたり抜けたりするため顔貌も変わってきます。

 

歯周病は隠れて進行するため、発見が遅れやすい病気です。

早期の段階で発見すれば治療は簡易で進行も予防しやすいため、定期検診を受けることが大事です。

重症化してからでは治療に限界があるため、抜歯となることもあります。

 

定期的に受診することで口腔内が清潔になります。

普段の歯ブラシでは落とせない歯茎の中の汚れも除去することができ、また着色などのザラザラもツルツルに磨けるため、スッキリ気持ちいい状態になります。

 

 

歯周病の原因は?

 

原因の多くは細菌です。歯周病の原因菌に感染することによって起こる感染症です。

最初の頃は影響力の少ない細菌が付着しますが、時間が経つと住んでいる細菌の種類に変化があり毒性の強い細菌が集合してきます。

免疫力だけでは細菌感染を攻略できず、時間が経つにつれ歯の周りの骨や靭帯が破壊されていきます。

他にも、歯並びや噛む癖などの不適切な力が原因によって歯周病が誘発される場合もあります。

 

 

歯周病の症状は?

 

最初の頃は痛みはほとんどありません。

初期症状としては歯茎の腫れや発赤、歯磨きの際に出血するといった症状がでてきます。

これは歯肉炎と呼ばれる状態で、汚れが付着することで歯茎に限局した炎症が起こっている状態です。比較的若い年代でも起こるとがあり、小学生や中高生でもよくみられます。

歯磨き習慣や歯ブラシの当て方を改善することで単に治ることがほとんどです。

 

歯に汚れが付着している時間が長くなってくると歯周病は進行してきます。

歯肉炎の状態が続くと、今度は歯を支えている骨に影響がでてきます。

この段階は歯周炎と呼ばれ、初期の歯周炎であればまだ骨への影響も少なく、適切に歯磨きや歯石除去を行えば状態は改善されます。

 

さらに進行した中等度と呼ばれる段階では、痛みが出ることもあり、臭いがしたり、噛んだときの違和感を生じることがあるため、自身でも気づくことが多くなります。

出血に加えて、歯と歯茎の境目の付近から膿が出てくることがあります。

また、歯を支えている骨が溶けてしまい、歯と骨を繋いでいる靭帯も減少しているため少し揺れてきます。

歯が動いたり隙間が空いてくるため息もれがあり、発音しづらくなったり食べ物が挟まりやすく感じます。

この段階であれば、積極的に歯周病の治療を行うことでまだ十分歯を残すことが可能です。

 

治療をしないで汚れを放置している期間が長くなると、次第に重症化してきます。

重度では痛みが出てくることが多く、食事ができないぐらい噛めなくなることがあります。

ここまで進行した場合は積極的に外科手術を行ったとしても治る可能性は低く、抜歯となることが多いです。

抜歯した後は失った歯を補うように何らかの装置を入れる必要があります。

どんな装置を入れたとしても、元の御自身の歯以上に噛めるようにはなりません。

 

 

歯周病が重症化するとどうなるの?

 

上記の通り、治療が困難な場合があり、抜歯となることが多いです。

また、全身にも影響が出ていることがあり、そのまますぐ歯を抜くことは危険であるため、問診を多く行う必要があるため診療の際にお話が長くなりやすいです。

痛くてもすぐに抜くことができないため、数日は痛みを我慢しないといけません。

抗生物質で急な炎症を落ち着かせてから、数日後に安全な状態で抜歯となります。

 

炎症が強い場合は麻酔も効きにくく、歯周病が進行しているほど骨が溶けてしまっているためいた後の歯茎の治りも悪いです。

あまりにも残っている骨の量が少なくなった場合はその後の治療にも支障がでることが多く、インプラントが困難であったり、入れ歯も適合が悪くなりやすいです。そのため、食事が非常にしづらくなり、栄養も摂りづらい上に食事の楽しみもなくなります。

 

―歯周病が重症化するとー

・痛くても歯を抜けない場合がある

・数日~数か月痛みを我慢しなければならない場合がある

・抜くときにも痛みが出やすい

・抜く前も抜いた後も食事しづらい

・栄養不足になりやすい

・見た目が悪い

・言葉が聞き取りにくい

・口臭が出やすい

・全身疾患を生じやすい

・場合によっては要介護や生命に関わることもある

 

 

歯周病が進行して歯がなくなってしまうと、金銭的にも悪影響がでてきます。

歯が少ないほど医療費が多くかかるというデータがあります。

 

NDB 第三者提供データより日本歯科総合研究機構作成

日本歯科医師会「2040 年を見据えた歯科ビジョン」より

画質が悪く、グラフが見づらいため、下に結果を書きます

結論:40歳以上すべての年齢階級で、歯数が20歯以上の人は、19歯以下の人と比較して、歯科以外の医科医療費の平均値が低い

 

また、歯科を定期的に受診して予防をしているほど生涯医療費が安くなるというデータもあります。

トヨタ関連部品健康保険組合(愛知県豊田市)と豊田加茂歯科医師会の共同調査

 

結論:定期的に歯科を受診して歯の健康維持に努めた人は、生涯医療費が平均よりも安くなる

 

歯がなくなるとお口の中に留まらず、全身にも影響がでてきます

そのお口の治療費だけでなく、全身疾患に関しても治療費が多くかかります。

これらの研究から、歯を失うことにより生涯医療費が高くなることが分かっているが、定期的な歯科受診を行うことで健康維持もでき、なおかつ生涯医療費を節約できるということが示唆されています。

 

歯周病は細菌感染症であり、慢性的に炎症を起こす病気です

その慢性的な炎症は全身に広がり、身体の各所において異常をきたします。

また、炎症性物質が全身へ波及するだけではなく、歯周病菌自体が血流にのり、血管壁や各種臓器に侵入・付着することが報告されています。

歯周病と全身疾患の間の関係は、直接的なものや間接的なもの、あるいは関わっている可能性はあるが定かではないもの等、多くのものがあります。

 

少し長くなってしまいましたが、次の投稿ではその全身疾患との関連を書いていきます。

 

 

参考文献

続・日本人はこうして歯を失っていく(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会)

日本歯周病学会ガイドライン